早稲田大学競走部のおいしい寮めし [本]
2011年発行の、早稲田大学競走部の寮めしを紹介した本。
当時の監督、磯繁雄氏のもとで、管理栄養士として食の面からサポートをしたのが著者の福本健一さん。
おいしい寮めしをカラー写真で紹介。
レシピの他にも、栄養バランス、エネルギー量、ビタミン・ミネラル、一汁三菜の献立、など栄養学についての記述も豊富。
食のバランスの大切さを痛感します。
12年前の本なので、まだ大学生の大迫傑選手(長距離ブロック)やディーン元気選手(投擲ブロック)のコメントが写真つきで載っているのもいいです。若い!大学生!って感じ。
駒澤大学陸上競技部のスポーツ応援レシピ 駅伝ごはん [本]
2022〜2023年に大学三大駅伝で三冠を達成した駒澤大学。
その駒澤大学の陸上競技部、道環寮の寮ごはんのレシピを紹介した本。
駒澤大学陸上競技部の食事は、大八木監督の奥さんの大八木京子さんがすべて作られています。
骨を強化するレシピ、貧血を予防するレシピなど、選手たちの体を作るレシピがたくさん載っています。写真も見やすくてきれい。
個人的には、所々に挟まれるコラムが興味深かったです。
道環寮の1日と題して、スケジュールが写真入りで載っていたり、朝食のメニューがある1週間を例に載っていたりするなど、とても興味深いです。
寮母、栄養士として、大学生たちを食から支えている京子さん。品数を多く、栄養バランスもよく、食欲をそそる料理の数々には頭が下がります。
できるものから、うちの毎日の料理に取り入れていきたいと思いました。
感動の鉄道絶景 死ぬまでに一度は乗りたい [本]
旅鉄BOOKS 044 感動の鉄道絶景 死ぬまでに一度は乗りたい
- 出版社/メーカー: 天夢人
- 発売日: 2021/04/17
- メディア: 単行本
日本の鉄道から見える絶景、鉄道が入った絶景をまとめた本。オールカラーでとても美しい写真がたくさん載っています。
・編集部が選んだ絶景BEST10
・海の絶景
・大地の絶景
どの写真も美しいですが、島国の日本、やはり海の絶景が豊富だし、ぜひとも見に行きたいなあと感じました。
冒頭に挙げられていた本四備讃線や表紙の氷見線など、写真で見ているだけでも美しくて心が洗われます。
旅に出たくなる一冊。
コラムに乗っていた、鉄道旅あるあるも、クスッと笑えます。
カメラの設定をしているうちに電車が走り去ったなんて、プロでもそんなことがあるんですね。
いくつか行きたくなった場所をメモして、心のなかで鉄道旅の妄想を繰り広げています。
飯は食えるときに食っておく 寝れるときは寝る 自衛隊が教えてくれた人生を明るく生き抜くコツ [本]
Twitterで有名な、元自衛官のぱやぱやくんの本。
自衛隊時代の経験を元に、明るく人生訓を紹介してくださってます。
「筋肉は裏切らないけど、関節は裏切るぞ」
ぱやぱやくんの上官の言葉。深いですね。(笑)
その他にも、自分の弱さを知ることとか、自分の不得意なことは、得意な人に頼る、普段からのコミュニケーションは大事、など、わかりやすい言葉で紹介されています。
人として、当たり前のことなんですけど、自衛隊味がついて、説得力が上がってます。
それから、自衛隊の中の人の慣習も紹介されていて、読み物としても面白いです。
タスキメシ 五輪 [本]
「タスキメシ」「タスキメシ 箱根」に続く,3冊目の続編。
2021年3月。
井坂都は,2021年の夏に開催される大規模国際スポーツイベント,すなわちオリンピックの選手村食堂でのアルバイトの面接に来ていた。
新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言とその後のまん延防止重点措置による時短営業のあおりを受けた。そのため都が勤めていた和食店の店主が3月で閉店を決める。
閉店後,飲食業は軒並み休業,閉店が多く,オリンピック選手村の食堂が最も条件が良かったのだ。ただ,コロナ禍で開催されるオリンピックには風当たりも強い。
その選手村食堂の面接で出会ったのが前年の箱根駅伝で10区を走った仙波千早であった。
◇
前作,前前作との繋がりのある3冊目ですので,「タスキメシ」「タスキメシ 箱根」は必読だと思う。
延期になった東京オリンピックの選手村食堂を舞台に,オリンピックを支える裏方の人々が小説で描かれている。
井坂都,箱根を走った後,競技は引退して食品会社に就職した仙波千早。
そのほか「タスキメシ 箱根」「タスキメシ」で登場してきた人々。
実際にあったオリンピックでの出来事が,作品内にエピソードとして出てきている。
コロナ禍での飲食業界の切実さも感じたし,そんな中で行われるオリンピックへの反発もあったし。
厳しい社会情勢の中,都たちのような市井の人々が懸命に頑張ってきた姿が描かれている。フィクションだが,オリンピックの裏方には,このような人がたくさんいたのだろうと思うと,名もなき人々たちに感謝。
ラクしてうまくいく生き方 ~自分を最優先にしながらちゃんと結果を出す100のコツ [本]
ラクしてうまくいく生き方 ~自分を最優先にしながらちゃんと結果を出す100のコツ
- 出版社/メーカー: きずな出版
- 発売日: 2021/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
『ラクしてうまくいく生き方』というタイトル通り,著者のひろゆきさんのゆるい感じが特徴的な,生き方の本。
ひろゆき(西村博之)さんは,2ちゃんねるの創始者として有名な方。
さぞかしお金も持っていて……というゲスい勘ぐりをしていたが,この本を読む限り,あんまり働かないし,必要最低限頑張ればいいやとゆるく生きていらっしゃる。
「ラクして,要領よく生きていけたらいいなあ」という人のための,ゆるい人生の指南書である。
2ページ見開きが一項目となり,たとえば,
「『自分ルール』を作りましょう」
「目標はとことん低くしときましょう」
など,生き方のヒントが端的にまとまっています。
ひろゆきさん自身がしゃかりきになって働きたいわけじゃないようで,どれを読んでもユルいです。読んでいて,ホッとするところが多いです。
著書の中で,がんばらないとか,ウソも方便とわりきるとか,実用的でなおかつユルいです。
気負わず,ありのままに生きたいなあという沿うんな人には人生の難所として非常にいいと思います。
反対に,好きな言葉は情熱です,とか,自分を乗り越えていくことに喜びを感じます,っていう人にはあんまり向かない気がします。
ワイには実にしっくり来ました。
90枚のイラストで 世界がわかる はじめての地政学 [本]
地政学という言葉を最近よく聞くようになった。
地政学というのは地理的要因と,世界の国や政治の動きを考える学問。
昨今のウクライナ情勢や中東情勢など,国の勢力や戦争にも関わりがある。国と国の関係を考える大切な学問である。
『初めての地政学』とあるように,地政学の入門書だ。
国を動物化したイラストがとても可愛くて親しみやすい。
日本は柴犬,アメリカはライオン,中国はパンダ,ロシアはホッキョクグマのようにその国を象徴する生き物の言動で,どのような行動をしている国なのかがわかる。
シーパワー,ランドパワーなどという言葉も初めて知った。
これからの社会情勢やそれぞれの国の思惑が,なるほどなあという感じで読むことができた。
世界のどの国も平和を希求しているはずだが,どの国にも,反映していこうという思惑がある。
地理的要因と,国際政治との関わりについて考えるいい機会になった。
52ヘルツのクジラたち [本]
母親や義父たちから疎まれ、それでも義父の介護要員にさせられたキナコと、母からムシと呼ばれ虐待を受けている13歳の子が、山の家の一軒家で暮らしだす。
音楽プレーヤーには52ヘルツのクジラの声。他のクジラたちは10〜30ヘルツの声で対話するのに、その52ヘルツのクジラの声を聞き取れるクジラはいない。
それぞれ心に傷を抱えた者たちが、模索しながら生きていく物語。
◇
再婚した連れ子だという状況、親から疎まれ、捨てられたとも言える状況。
下手に他者が介入すると、陰で親からの虐待がますます酷くなる。
主人公たちの置かれた状況がそれぞれ辛いてす。
もしかしたら私たちはここに出てくる老人会の会長のように理想の家族からはみ出した人を、異なものとして感じ、無意識的にも排除してしまっているのかもしれない。
読んでいて、しんどいシーンも多かったです。
キナコたちの希望が、孤独な52ヘルツのクジラの声に象徴されているような気がしています。
キナコたちが、ささやかな幸せをもって生きていけたら良いのになと感じました。
モノクロの夏に帰る [本]
一冊の本をもとに,それぞれの登場人物が,戦争について,どう考え,どう行動するかを考える連作小説。
第一話「きみがホロコーストを知った日へ」
第二話「戦略的保健室登校同盟」
第三話「平和教育の落ちこぼれ」
第四話「Remember」
作中作の『時をかける色彩』という,戦前戦時中のモノクロ写真をAIでカラー化するプロジェクトが組まれ,それを写真集化したものが出版された。
第一話では,主にカリスマ書店員の,第二話では保健室登校をする女子中学生二人の,第三話では広島出身のテレビディレクターの,第四話では日本の高校に転入してきた,アメリカ人と日本人のミックスの高校生の,それぞれの視点と立場で,戦争について模索していく小説。
◇
様々な立場の人物を,それぞれの物語の主人公に据えて展開していく話は,額賀さんの作品には多いが,よくもまあこれだけ多視点で……と驚かされる。
おためごかしのように「戦争はするべきではない」「戦争の悲惨さを次世代に伝えねばならない」というだけではなく,それぞれの人物が戦争についてどう悩み,真摯に向き合って考えたのかを,心情にそって読み進められる作品だった。
塞王の楯 [本]
時は戦国時代。
近江穴太に、穴太衆といわれる石垣職人たちの集団があった。その中でも随一の知識と技術を持っていたのは、飛田源斎を頭とする飛田屋。強固な石垣を造ることから飛田屋の頭は「塞王」と呼ばれている。
もとは一乗谷の戦いで身寄りをすべて失い、孤児となっていた匡介は、源斎に助けられ飛田屋の跡継ぎとなった。
また、北近江の国友村に、国友衆と呼ばれる職人集団があった。穴太衆が最強の「楯」と呼ばれるのに対し、国友衆は至高の「矛」、すなわち鉄砲を作る職人たちである。
その国友衆の中でも鬼才と呼び声の高いものが国友彦九郎である。穴太衆随一の職人である源斎が「塞王」ならば、国友衆の彦九郎は「砲仙」とよばれ、比するものない鉄砲を作る職人集団の頂点に立つ。
太閤秀吉亡き後、再び乱世へ。武士たちが東と西に別れ、近江の大津城で互いに並ぶ者ない「楯」と「矛」が相見える……。
◇
戦国時代の戦いを、武士ではなく職人の目線で語られていて、その文章量の割に、後半は、一気に読み進めました。
それぞれの立場で戦のない泰平の世を願っていながら、それぞれの正義、技への矜持を持った人物たちの姿が目に浮かぶよう。
質量ともに読み応えがありました。