墨のゆらめき [本]
主人公の続 力(つづき ちから)は、西新宿にある小規模なホテル、三日月ホテルのホテルマン。
古く、こぢんまりとしてはいるが、客室にはゆとりがあり、眺めもいい、水まわりのリフォームもなされていて、人気のホテルである。
宴会や結婚式などで筆書きの招待状や案内状を書く人を筆耕士といい、三日月ホテルでは外部の書道教室の先生や書道の段を持っている人を登録している。
その筆耕士のうちの一人、遠田 薫(とおだ かおる)氏は先代の康春氏から代替わりし、一度訪ねる必要があった。
下高井戸から狭い暗渠の道を少し歩いたところに、その遠田書道教室はあった。
この遠田薫氏、書道教室だけでなく代筆業までやっている。力はその代筆業の手伝いなどで、薫に巻き込まれることになる……。
◇
書や手紙を通じ、ビジネスだけでなく人としての温かいつながりが感じられる。
男子2人の友情ものは三浦さんは多く書かれているけれども、今作も心のつながりを感じる。
書に対する真摯さも、書から滲み出る人柄もあるのだなあと読んでいてワクワクした。
読んだのは紙の本だったが、AmazonオーディオブックAudibleのために書き下ろされているので、耳で聞いてみるとまた違う感じ方になるのか興味がある。
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