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空への助走 福蜂工業高校運動部 [本]


空への助走 福蜂工業高校運動部

空への助走 福蜂工業高校運動部

  • 作者: 壁井 ユカコ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/10/05
  • メディア: 単行本

 「2.43 清峰高校男子バレー部」シリーズのライバル校であった,福蜂工業高校などを舞台に書かれた短編集。

 4つの短編で構成されています。
 それぞれが独立しているので,どれから読んでもいいかと思います。
 もちろん「2.43 清峰高校男子バレー部」を読んでいると世界観がつながるところがありますが,読んでいなくても問題なく,それぞれの短編小説を楽しめると思います。

 「強者の同盟」
 福蜂工業バレー部,高杉潤五と,同じ中学校で同じクラスだった,尋慶女子のテニス部,赤緒梓。
 お互い部活では,誰にも負けないとの自負があって,それぞれ強豪校に進んだ。
 だが,強いところで一番になりたいという高杉が選んだ,福蜂工業の同じ学年には,もっと強い相手がいた。……三村統。


 「空への助走」
 荒島涼佳は,小学校のから体格が良かったけれども,走るのが速かった。ついたあだ名は「ブブ佳」。
 進学した福井県立明日岡高校。陸上部に入った涼佳は,部の先輩,荒島拓海と再会する。
 小学生の頃,同級生に散々からかわれたのを,一瞬で黙らせてくれた1つ上の上級生。


 「途中下車の海」
 福蜂工業高校柔道部の主将,長谷忍。
 本立乱取りで後輩の女子,古賀あゆみと組んだとき,自分より格下で,しかも女子のあゆみに寝技で締められたことにショックを受け,さらに顧問の通称シャークに説教された。
 それがきっかけで,突発的に学校をサボり,海に向かう列車に乗った。
 その日長谷はちょっとした事故で海に落ち,それを助けてくれた同級生の平政洋から,頼まれごとをされる。
 釣り部に入ってくれ。幽霊部員でもいいから。


 「桜のエール」
 前の三編に登場した,福蜂工業バレー部,柔道部,陸上部(明日岡高校のライバル校としてほんの少しですが)。
 後日譚のような,爽やかな短編。


 どの話もそれぞれ良いです。
 高校生の部活に掛ける青春というか,強豪校としての誇りやプライドのようなものと,それに負けずに自分自身も強く在りたいという向上心と。ええなあ。

 個人的に印象に残ったのが3番目の「途中下車の海」。

 えちぜん鉄道,通称えち鉄がいい味出しているんですよ。
 主人公の長谷と,同じクラスだけどヤンキー的なビジュアルでほとんど交流のなかった平政とが,車内で交わす会話がとてもいいのです。

 やっぱり車窓の情景って,なにか心の内に持っているものを吐露したくなるというか,人の心を動かす何かがあるんですよね。

 えち鉄,乗りに行きたいなぁ。
 本編には全く関係ない感想ですが,ネタバレはせずに済んだ(笑)。



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