生命の未来を変えた男 山中信弥・iPS細胞革命 [本]
ノーベル賞受賞で一躍有名になった、京都大学の山中信弥教授のiPS細胞研究についてまとめられた本。
読んで感じたのは、理系の、医学的な側面だけではなく、臨床や製薬、またその他どんな部分で役に立つか、また倫理的な面でこれから起こりうる問題など、広い視点で書かれていたことです。
人間の受精卵から作ったES細胞に比べ、体細胞から作るiPS細胞にはクリアできる点が多いとは言いながらも、多様な臓器になることのできる細胞ゆえに新たな問題が現れてくる。
それを充分にクリアしていくために京都大学iPS細胞研究所で、基礎研究だけでなく倫理問題を検討する部署があったり、新たな特許技術を研究所だけで独占するのではなく広く医学の進歩のために役立てられるような施策をとっているなど、科学の進歩発展に心がけられているのだと感じた。
ALSなど、まだ治療法の確立していない難病の患者にとって、iPS細胞から病気の発生の仕組みを研究したり、新薬の開発にiPS細胞が役立つことで、治療の方法が開けることが期待されている。難病に苦しむ人が少なくなるように、一日も早くiPS細胞が医学に役立つ日が来てほしいと思う。
2012-11-21 14:50
nice!(2)
コメント(0)
トラックバック(0)
コメント 0