科学のアルバム「コケの世界」 [児童書]
美しいコケ写真とともに,コケに生態をきちんと書いている本。種々様々なコケを紹介しています。
胞子で増えるコケに「お花」「め花」といったように「花」と表現しているのが少し気になるのです。
でも,コケの一生の間に,胞子体から出された胞子が成長して配偶体となり,そこに「造精器」「造卵器」ができ……と正確さにこだわりすぎると子どもには縁のないものになってしまうものかなあということも感じましたので,ここは「花」がいいのかもしれません。
蘚類,苔類ともに子どもに分かりやすく書かれています。
胞子嚢のことをコケ植物ではさく(くさかんむりに朔と書きます)といいますが,そのバラエティ豊かさは自然が産んだものとはいえすごいなあと思います。
うちのプランターにも自然に生えたコケがたくさんありますが,よくよく見るとたくさんの種類があるのです。
一さつのおくりもの [児童書]
クマタのいちばんのおきにいりは「かいがらのおくりもの」という本。毎日読んでいます。あるとき、山のむこうで大雨が降って家が水びたしになったりして、大変なことになりました。クマタは大好きで大好きで毎日読んでいる本だけど、山の向こうにいる困っているお友だちにその本をおくることにしました……。
「かいがらのおくりもの」の中に出てくるキツネさん、それからクマタくんの優しさが重なります。何とも言えずほっこりとする絵本です。
大人である自分は一番大切なものを誰かに贈れるだろうか、そんなことを考えてしまいました。
1年生から読める本だと思います。
見学!日本の大企業 ソニー [児童書]
心のおくりびと 東日本大震災復元納棺師 [児童書]
心のおくりびと 東日本大震災 復元納棺師 ~思い出が動きだす日~ (ノンフィクション 知られざる世界)
- 作者: 今西 乃子
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: 単行本
北上市の納棺師、笹原留似子さんが東日本大震災で亡くなられた方の遺体を復元するボランティアの活動を書いたドキュメンタリー。
笹原さんは、内陸部の北上市から、沿岸部の宮古市、大槌町、陸前高田市など津波で甚大な被害の出たところに行かれました。
損傷してしまった遺体を、生前の写真を元に復元するボランティアを、寝る間も惜しんで続けられました。そして遺体の復元を行いながら生前の人柄はどんなだったろうか考え、遺族の心に寄り添っている気持ちが、とても感じられました。
遺体を生前の姿に戻すことで、遺族も哀しみと向き合い故人を送り出すことができるのです。
津波で大切な人を失った人がどんな気持ちでいたのか、痛いほど感じました。
分かりやすい文で、小学校4年生くらいからなら充分読める内容だと思います。
こんちき号北極探検記 [児童書]
あべ弘士さんたち、絵本作家や動物写真家や、映像カメラマンやらが、21メートル級のヨットをチャーターして北極圏ノルウェー領のスバールバル諸島を探検します。このスバールバル諸島は、定住する人のいる最北の場所だということで、街の中にシロクマ注意の看板があるくらい。
このスバールバル諸島をヨットで廻り、出合ったさまざまな動物を観察しイラストに描いたエッセイ。
元旭山動物園の飼育員だったあべ弘士さんの動物を見る目は折り紙つき。
シロクマ母子が他のオスのシロクマに出会ってしまってピンチの様子とか、氷山に乗って休んでいる海鳥の様子とか、主に色鉛筆で描いています。動物の生態に詳しいあべさんの描くシロクマたちは、躍動感に溢れています。
この探検の間、実に楽しげな様子が窺える。北緯80度を越えたときなど、記録より悪天候で難儀していたり、白夜真っ最中の日の沈まない夜とか、とても興味深く感じました。
くまのテディ・ロビンソン [児童書]
テディ・ロビンソンは、大きくて抱き心地のいい、人懐っこいぬいぐるみのくまさん。デボラという女の子のもので、二人はいつも仲良し。デボラの行くところには必ずテディ・ロビンソンも行きます。
テディ・ロビンソンは、ぬいぐるみだけど人間のようにいきいきと動きまわり、しゃべり、遊びます。子どもの日常が、あるがままに描かれているのです。
大人にはとっくの昔に失われてしまったファンタジー。小学校2~3年生くらいの女の子には物凄く響く物語です。正直、オイラも大好きですが、子どものように純粋に読むのは難しいかも。新井素子さんの「わにわに物語」を楽しめる大人には大いに薦めますが、普通の感性の大人にはこの本の面白さは分かってもらえないかもなあ。
ステップファザー・ステップ [児童書]
ステップファザー・ステップ 屋根から落ちてきたお父さん (講談社青い鳥文庫)
- 作者: 宮部 みゆき
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/10/14
- メディア: 新書
1993年3月に刊行された「ステップファザー・ステップ(講談社文庫)」より6編を再録したもの。
最近多いんですが、長女ひでひ子(仮)が図書館で借りてきた本をついでにオイラが読むパターンのやつです。
それにしても、とても面白い。 ミステリなんだけど5年生のひでひ子(仮)でも楽しんで読めました。
前書きにあるよう、出た時代の出来事で分からないところが子どもにはあると思うけど、そこは親に聞いてみようとのこと。長女ひでひ子(仮)には何も聞かれなかったけど、何となく読んだ模様。オイラはもちろんああ、こんな事があったなあと注釈をみながら思いました。
是非、今度は青い鳥文庫でなくて講談社文庫で読んでみたいです。
そして後から知ったのですが、平盛国役の上川隆也さんが主人公でドラマ化されてたとか。めっちゃ見たい。
ビアトリクス・ポター―ピーターラビットはいたずらもの (愛と平和に生きた人びと) [児童書]
ビアトリクス・ポター―ピーターラビットはいたずらもの (愛と平和に生きた人びと)
- 作者: エリザベス バカン
- 出版社/メーカー: 佑学社
- 発売日: 1988/12
- メディア: 単行本
佑学社で出された伝記シリーズ、愛と平和に生きた人々9。
先に挙げた「素顔のビアトリクス・ポター」と原著は同じなのですが、訳者が上田まさ子、本の装丁もずいぶん子ども向きです。
かなり易しい文章になっています。小学校中学年も読める分量になっていると思います。ただ「素顔のビアトリクス・ポター」にあった写真などの図版がずいぶん減らされた上、内容も割愛されているものが多いように思います。
ちょっと引っかかったのが、現代の子どものように学校で学ばないことを、友達も出来ないひとりぼっちで、それを不幸と決めつけられるのか、と思いました。幸、不幸を伝記著者(あるいは訳者)の主観で表現してはならないのではないかと。
また、子ども時代、両親から他の子どもたちと遊ぶのを止められた理由が「虫がつく」のをいやがってと書かれていましたが、それだとなんとなく、男女関係で???というニュアンスに読めました。ただ単に風邪やインフルエンザなど、流行性の病気がうつるのを嫌がったようです。
巻末の、いわむらかずお氏による解説が面白かったです。自然と向き合い、動物を主人公にした方ならではのものの見方が感じられました。ポターと共感する部分もたくさんあったんでしょうね。
この本は、現在もう出版されていないようです。
「ピーターラビット」の丘から―ビアトリクス・ポター [児童書]
「ピーターラビット」の丘から―ビアトリクス・ポター (名作を生んだ作家の伝記)
- 作者: スピーカー・ユアン マーガレット
- 出版社/メーカー: 文溪堂
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
文溪堂から出版されている「名作を生んだ作家の伝記シリーズ-3」
表紙の挿画が宇野亜喜良です。すごく贅沢。でも、ピーターラビットだと宇野さんらしさがほとんど出てないのが残念。同じシリーズの他の巻はバリバリ宇野亜喜良です。
原著
"WHO WROTE THAT?:BEATRIX POTTER"
by Margaret Speaker-Yuan
Copyright 2006 by Chelsea House Publications
子ども向けの伝記です。対象は特に本に書かれてはいなかったのですが、小学校高学年以上でしょうか。イギリスのヴィクトリア時代に生きたポターの話なので、今の日本の子どもが読むと、どうしても注釈に頼らなければならず、場合によっては本の内容そのものよりもその注釈を追うことで終わってしまうかも知れません。
ピーターラビットの本を読んでいない子がこの本を読むとは余り思えないのですが、そんな子でもポターの人生がどんなだったのかは一通り分かると思います。
ポター自身については、好意的に書かれており、子ども時代に飼っていたハンカ・マンカやベンジャミン・バウンサーの話、家庭教師ミス・ハモンドとの話など、子ども時代についても丁寧に書かれているように思います。
両親から放っておかれた子ども時代ですが、本人は良かったと思っていたことを文献を引用して書かれていました。そのほかにも、ポターが十代後半から二十代に書いた暗号日記からの引用も多く、ポター自身の言葉も多く載っています。
湖水地方に避暑に行くようになり、やがてそこに魅せられてピーターラビットの作品世界を作り上げていくこと、2番目の家庭教師の息子、ノエル・ムーアに書いた手紙のおはなしがやがて本になっていくこと、どの出版社にも断られやがて自費出版する様子など、分かりやすく書かれています。
晩年のウォーン社との確執だとか、絵本の出版をしなくなっていく過程の記述は、やや少なくなっているように思います。
晩年、頑固になっていった部分の記述は余り多くないかも知れません。美談だけというわけではないのですが、ハードウィック種の羊の飼育に力を注いだり、湖水地方の農地保存の活動をしたり、ガールガイド(ガールスカウト)のキャンプ地を提供したり、社会のために貢献した内容が書かれています。
ふしぎなもるもくん [児童書]
今回、絵本というのとはちょっとジャンル違い。小学校1年生から読めるような本で、敢えて分けるなら児童文学ですかねぇ?ふじしろ図書館だと絵本とは別のところ、でも児童コーナーに置いてある本。いとうひろしさんのおさるシリーズも正確にはこっちのカテゴリになるのですが、なんと分けたらいいのだろ。
斉藤洋さんの本。基本1年生からでしょうけれど、読み聞かせてやれば年長さんあたりでも大丈夫。
ある雨の日、空からもるもくんが落ちて1年生の頭に乗っかりました。すると1年生はとってもハッピーな気分。もるもな気分です。学校探検に出かけると、いろんな部屋でみんながハッピーに……。
何とも不思議な味わいのある、わくわくする本です。理由なんてなくて、ただ、そこにもるもくんがいるから……。もるもくんがいると踊りたくなります。もるもくんがいると歌いたくなります。
あ、もるもくんというのは、見た目モルモット。でも、なんか不思議な生き物に思えてきます。