フツーの主婦が、弱かった青山学院大学陸上競技部の寮母になって箱根駅伝で常連校になるまでを支えた39の言葉 [本]
フツーの主婦が、弱かった青山学院大学陸上競技部の寮母になって箱根駅伝で常連校になるまでを支えた39の言葉
- 作者: 原美穂
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2017/12/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
2017年12月に出版された,青山学院大学陸上競技部の寮母の原美穂さんの本。原晋監督の奥さんです。
2017年の青山学院は出雲,全日本,箱根で3冠を達成し,箱根駅伝に至っては3連覇を成し遂げた常勝校と言ってもいいくらい。
原美穂さん自身をテレビで見る機会も多く,栄養面や精神面で学生さんたちを支えるしっかり者のお母さんというイメージでした。でも,最初から寮母として完璧だったわけじゃない。
安定した企業で,ずっと両親もいる広島で暮らせるはずだったのに,夫がいきなり会社をやめて青山学院大学陸上部の監督になるという。驚天動地。全力で反対したけれどでも夫の気持ちは変わらない。
そんな美穂さんが寮母となって試行錯誤しながら得てきた,生き方や考え方が書かれています。
美穂さんの立場だから出てくる言葉もたくさんありました。
個人的に一番心に残っているのは,最後の項目の言葉。
「夢」なんか無理に持たなくていい。「夢」を持つ人を懸命に支えることで,自分の「夢」が見つかることがあるのです。
寮母になってから,怒涛の日々を送られていたでしょう。けれども,学生たちを支えること,監督とは別の立場から見守ることに生きがいを感じて,学生のために頑張る人生もいいなあと思わせてくれました。
チーム [本]
箱根駅伝予選会。城南大は12位で本戦出場を逃す。
その城南大の主将,浦大地に声をかけてきたのは,11位美浜大監督の吉池幸三。「俺と一緒に箱根へ行こう」。
吉池は卒業生からオリンピック選手を何人も輩出し名伯楽と言われながらも,美浜大を箱根駅伝への出場させることは叶わなかった。
昨年,10区でブレーキとなってしまった浦に,留学生を含めて1位となるほど異次元の能力を持ちながら,協調性の欠片もない東京体育大学の4年の山城悟。浦の高校のチームメイトだったが,陸上長距離では弱小校の港学院に進学し,走りへの意欲を失ってしまった4年門脇亮輔。
寄せ集め集団である学連選抜の挑戦が始まる……。
集められたはいいけれど,学連選抜で自分たちのチームではないという学生たちのモヤモヤした気持ち,素直に箱根に出られたと喜べない気持ちが実に痛い。
それぞれ,心に痛みを持って学連選抜に向き合う,その心理描写がすごく辛くあり,だけどそれが尊くもありました。
あんまり書くとネタバレするのでやめておきますが,日本ならではの特殊な競技である駅伝で,襷を繋ぐこと。チームとなること。走っているときは一人だけど,でも決して個人競技ではない……。もう,何だが尊いです。(語彙力ひどい)
著者の堂場瞬一さんは青山学院大学の国際政治経済学部卒業。協力に青山学院大学の原晋監督の名も。
原晋監督も,2008年の箱根駅伝で学連選抜を5位に入賞させた人。フィクションなんですが,実話をもとにしたのかなあって感じました。
最後に一言。京急蒲田は「チーム」ではまだ踏切です。