白をつなぐ [本]
まはら三桃さんによる,都道府県駅伝の小説。
一月に広島で開催される都道府県対抗男子駅伝。
県を代表して,中学生から社会人までの幅広い年齢の選手が,故郷の県のために襷をつなぐ。
それぞれの選手,コーチ,監督が,それぞれの思いを抱いて走る。
駅伝,めっちゃいいですよ。
物語としては,誰が主人公というわけでもなく,それぞれの視点で,それぞれの思いを走りに昇華させる。それは駅伝を走った選手だけに限らず,補欠,コーチ,監督,それぞれの思いを持って,一本の襷をつなぐ。
この中の誰もが主人公であり,群像劇だなというのは感じました。
福岡県代表のチーム,中学生の山野海人,佐々木和,斎藤湊,高校生の沢田瞬太,谷山林太郎,川原大貴,大学生の水島颯,実業団の吉武弘一。そして監督の熊沢速一,コーチ澄川佑太,小野仁。
場面ごとに,それぞれの人物の思いがつながっていくんだと感じました。
そして,物語全体を「白」がつないでいます。
やっぱり,ほとんど恋愛要素のない男子の群像劇って好きかも。
登場人物の一部にちょっとだけ恋愛要素あります。でもほぼ走っています。
ふむふむ: おしえて、お仕事! [本]
三浦しをんさんが,様々な職業の女性にインタビューをした本。
三浦さんは「仏果を得ず」で文楽の太夫,「舟を編む」で辞書の編纂者,「神去なあなあ日常」で林業など,様々な職業の人を主人公にした小説を書かれています。
そんな三浦さんの興味のままに,様々な人から仕事の楽しみ,苦労,生きがいなどをインタビューなさっていて,それらをまとめたもの。
漫画のプロアシスタント,靴職人,動物園飼育係,フィギュア企画開発,女流義太夫三味線,こんな仕事があるんだなあっていうのを改めて教えてくれた本。インタビューした三浦さんの人柄もあるんでしょうけれど,苦労したことよりも,楽しいこと,仕事で充実していること,など,ものすごくポジティブに読みました。
地図で読み解く京急沿線 [本]
「地図と地形でたどる京急沿線」と,本書の帯の宣伝文句のように,京浜急行の路線や,沿線との関係が細かくかかれています。
章立ては,以下の通り。
Chapter 1 京急全線編
Chapter 2 品川・大森・蒲田編
Chapter 3 羽田・川崎編
Chapter 4 横浜編
Chapter 5 横須賀・三浦半島編
京急全線,それから,それぞれの地区ごとに,様々な地図と京急線との関わりを書かれています。
その地図が,古い時代の地図,物によっては明治初期にかかれた鳥瞰図もあったりしてその地図表現だったり,現在とちがう地形だったりしてとても興味深いです。
京浜急行は,開業した頃,横浜の北と南で電気鉄道会社が違っていて,品川-横浜は京浜電気鉄道,黄金町-浦賀と金沢八景-逗子は湘南電気鉄道が前身となっている。
そのため,北と南でルートや駅の数などにも違いがあるそうです。
京浜急行の歴史的なことは色々読んだけれども,開業した頃や,まだ京浜電気鉄道の古い路線図をみると,まだここが開業していなかったのだなとか,開業するつもりで線はひいてあるけれどその後路線のが凍結されて未成線になってしまったのだな,などということが実際に見られて面白いです。
昭和初期の沿線の案内図,戦前の三浦半島の地図には,軍の重要施設などもたくさんあったのだな。ただ,それは地図上から消されていたけれど,要塞地帯区域線(実際には,旧字体の要塞地帶區域線,ブログで出るだろうか?)がひかれていたのだな。
そういえば横須賀の米軍基地や海上自衛隊の基地なども,旧海軍施設が流用されたのだなといろいろ考えてしまったのです。
1回ではとても読みこなせないのです。何回でも読みたいです。地図を見るたびに,地理・歴史的な新しい発見があるんだろうなと思います。楽しいことです。