パディントンのクリスマス [児童書]
「パディントンの本」シリーズの2冊め。
小学校中級以上と本にありますが,小3~4くらいのギャングエイジの子たちが読んだら,結構重なるところがあるのではないかと思います。
イギリス,ロンドン,ウィンザーガーデン二十二番地。
ペルーからやってきた小さいくまのパディントンが,ブラウンさん一家と暮らすようになりました。
この「パディントンのクリスマス」では,クリスマス前の冬の物語。
家族写真を取ったり,探偵になったり,大きなデパートにプレゼントを買いに行ったり。
そしてクリスマスの日の贈り物をしたり。
なにかあるごとに,パディントンのまわりには,事件が起こるけれど。
それでもパディントンはみんなに愛されています。
顔がマーマレードでべたべたになっても,何があっても愛らしいパディントン。
悪気はまったくないのに,頑張っているのに何故か事件が起こってしまう。
それをブラウンさん一家は温かく受け止めている。
パディントンのことがみんな大好きだというのがわかります。
パディントンが表面的にやんちゃないたずら坊主に見えても,根っこはだれか周りの人への思いやりがあるんだというのが,共感できるような気がします。
箱根0区を駆ける者たち [本]
2019年の箱根駅伝で,総合優勝した東海大。
その東海大の前年,2018年の箱根駅伝までに密着し書き上げられたルポ。著者はサッカー,陸上競技などに精通したスポーツライター。
東海大に限らず,箱根の常連校は陸上競技者の層も厚く,箱根の10区に入れないメンバーも当然多い。
東海大では箱根のエントリーメンバーが発表されたあと,エントリーメンバーから漏れた4年生は選手のサポート,裏方に回る。これらのメンバーを箱根0区と呼んでいるそうだ。
0区の選手たちは,グラウンドなどの整備,データ集め,本番前の様々な準備,箱根当日は各区間のタイム計測,付き添い,給水,応援などの手厚いサポートを行う。
0区の献身的なサポートがあるからこそ,各区間のランナーは走ること注力できるのだ。
主務,西川雄一朗も,マネージャーとして選手のサポート,また監督やコーチとの橋渡し役となっている。表には出ないところでチームのために尽くしている。
この本の中では,2018年,春日千速主将の代の4年生に関する記述が多い。
大学トップクラスの実力を持った,關颯人,鬼塚翔太,館澤亨次など,東海大の黄金世代と言われる当時の2年生たちが駅伝メンバーに選ばれるなか,当時の4年生,3年生は余り目立つ選手がいず,おとなしい世代だったそうだ。
その4年生も,みな,箱根で走ることを夢見て,目標に向かって練習を重ねていたのだ。競技実績や故障などで0区へとはなったけれども,チームのために,それぞれのポジションで持った役割を果たす。メンバーから外れ,一度は希望を失っても,裏方でチームのために尽くす0区選手たち。それもまた輝かしいと思う。
両角監督の話も出ていたけれど,箱根がゴールなのではなくて,大学での4年間は教育期間。卒業したあとも世界で活躍できる選手を育成したいと考えているとのことだ。
この本に書かれている2018年,東海大は往路9位,復路4位で,総合5位となった。
だが,これで良しとせず,上を目指したからこその,翌2019年の総合優勝につながったのだろう。これからの活躍も期待している。