かがみの孤城 [本]
安西こころは,中学に入学したばかりのとき,クラスメイトからのいじめがきっかけで不登校になっている。
母親とフリースクールに行くと約束したものの,当日になると腹痛で行けなくなる。
母親の期待に応えられない悔しさと,何もわかってもらえない苛立ちと,自分の気持をうまく言葉にできないもどかしさと。
すると,こころの部屋の鏡が光り輝いて,そこに手を伸ばすと引き込まれて別の世界へ。
童話に出てくるようなその城にこころを引き込んだのは狼の麺をつけた女の子。“オオカミさま”だった。
こころと同じようにこの城に呼ばれたのは,7人。すべて中学生だという。はじめは距離をとっているような7人も城に来るたび,変わっていく……。
前半は,中学校で受けたこころのいじめに,読んでいて辛くなる思いでした。
学校での友達との距離感,言動,気を使うことが多すぎて,心を擦り減らしていって……なんともやるせないです。
けれども,そんなこころが7人と出会い,お互い不登校なのだろうなと推測するところから,少しずつ7人が気持ちをさらけ出し,ぶつかりあいながらも信頼関係を築いていく姿。とても引き込まれました。
城での生活で,変わっていくこころたちの気持ちがなんとも,言葉にならないけれど。
もしいじめられているのが自分の娘だったら……,胸が痛い。
想像するだけで辛いです。でも,目をそらしてはいけないんですね。
読み応えがありました。物語で,ばら撒かれた伏線を次々と回収していて,辻村深月さんは,めちゃめちゃすごいなーと。