東京すみっこごはん 楓の味噌汁 [本]
「東京すみっこごはんシリーズ」の第4作。
東京の昔ながらの商店街。昭和の町並みがそのまま残った商店街の,路地裏のすみっこに,その共同台所,すみっこごはんがある。
読者モデルとは聞こえがいいけれど,無理してセレブ感を出している派遣のOL,瑠衣が主人公の「安らぎのクリームコロッケ」。
母一人子一人で,高校進学も厳しい家庭の瑛太が主人公の「SUKIYAKI」。
楓と,生まれる前に失踪していた父,豊。そして楓が幼かった頃になくなった母,由佳。その家族をつなぐ「楓の味噌汁」。
三つの短編ではありますが,楓,すみっこごはんとそこにやってくる人々,柿本さん,田上さん,金子さん,丸山さん,奈央さん,一斗さん,秀樹くん,純也。それぞれの人生の物語がすみっこごはんの食事を通じて交わっているのが羨ましいです。食べることって大事だなあ。
今回は,瑠衣にしても,瑛太にしても,あまり生活が恵まれているとはいい難く,そんな主人公たちが悩みを抱えているところも。経済格差,貧困など,いろいろと考えさせられるところもありました。