BUTTER [本]
大手出版社秀明社の週刊誌「週刊秀明」の記者である町田里佳。秀明社のなかでも、仕事がハードな「週刊秀明」唯一の女性記者である。
梶井真奈子は、連続殺人事件の容疑者であるが、対して美しくもないし、太っているのに、次々と愛人として交際してきた男性を殺害してきたことで、メディアから注目を浴びてきた。
里佳はその梶井真奈子の事件に迫るため、真奈子が好きだという料理の話を取っ掛かりに、話を聞き出していこうとするが……。
「週刊秀明」編集部内で、女性記者が入っても結婚、妊娠、出産と、状況が変わることで結局ハードな部署から異動して残らないこと、梶井真奈子が女を武器にして贅沢な暮らしをしたあげく、相手の男を死に至らしめていること、里佳の親友である怜子が、不妊治療に注力するために仕事を辞めて家庭に入ったこと。
男女平等とはお題目にあっても未だに平等とは言い切れない社会を小説で描かれていたように感じた。
そんな中で、里佳は必死に自分の仕事をやり続けているのだ、見えない圧力と戦っているのだなと感じた。
また、梶井真奈子が心底はまっていたバターをふんだんに使った料理のあれこれに、食にこだわること、食が病的なまでに人を虜にすることに圧倒された。
オイラは働くことも、それから家庭内で家事をやることも中途半端だが、それでも、だからこそ救われているのかなあ、なんてことを考えてしまう。
オイラ個人的にはなんとも重くざらざらした感じの本でしたが、女性が社会で生きる問題を改めて考えさせられた。