東京すみっこごはん 親子丼に愛をこめて [本]
「東京すみっこごはん」シリーズの3作目。
昔ながらの佇まいをもつ、裏通りにある共同台所。すみっこごはん。
料理当番はくじ引きで、まずくても文句をいってはいけない。でも、風変わりな共同台所で人々は癒やされる。だから、それぞれ、人に言いづらい悩みを抱えすみっこごはんに集まってくるのだ。
今回も仕事、家族、友情、恋愛、さまざまな出来事がある。それぞれの人物が料理を通じて、人生や生き方について考え、乗り越えていく。
市井の人々たちが、悩み苦しんだり、それを乗り越えていくときの心のありようだったり、どう解決していくのか、面白くてどんどん読み進めてしまいました。
このあと、4作目も出るしまだ、1作目も読んでいないので、これから読もうと思います。
東京すみっこごはん 雷親父とオムライス [本]
「東京すみっこごはん」シリーズの2作目。
東京の、昔ながらの姿を残した商店街の片隅。路地裏に入った目立たないところに、共同台所「すみっこごはん」がある。
街の定食屋かと思えば、共同台所。「すみっこごはん」に集まった人でくじを引き、当たった人がその日の食事当番をする変わった台所。
すみっこごはんに集まる人々の、心温まる物語。
くじで当たった人が料理当番をする食堂という少し変わった設定でも、登場人物の抱える悩みや苦しみがリアルで、ぐいぐい小説の中に引き込まれました。
この巻では、「すみっこごはん」周辺の街の再開発にまつわる出来事があって、現実にそういうことも起こりそうだと感じました。
「すみっこごはん」の登場人物一人一人が魅力的です。
いきなり2作目からだったので、1作目も読みたいなあと思いながら、次は3作目。
下剋上受験 [本]
下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
- 作者: 桜井信一
- 出版社/メーカー: 産経新聞出版
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: 文庫
テレビドラマ化もされた,中卒の父とその娘の,中学受験ストーリー。すべて実話。
中卒の両親のもとに育ち,自身も中卒。奥さんも中卒。
だが,社会で生きていく中で,中卒の生きづらさを感じていた。自分が中卒だとわかった途端,態度を変える人々。重要で責任のある仕事は学歴のあるものが持っていってしまう。当然給料も高い。
娘に,同じ道は歩ませたくない。父と娘,中学受験を目指す。
だが,中学進学向けの塾だと,一番下のクラスに入れられ,女子最高難度の桜蔭学園を目指すことはできないだろう。それに費用もばかにならない。
そう考えた父は,娘と二人,親塾を始める。娘といっしょに,中学受験に向けた問題に取り組むのだ。
とにかく,娘の佳織さんも頑張っていたが,難関校受験向けの学習を一緒に頑張る父,信一さんもすごい。
娘との勉強が終わったあとの深夜に,問題集にじっさいに取り組んでいるのである。
娘にやらせる前に,自分自身でも解いてみる。どんなに時間がかかっても。
よく,子供に命令するのではなく,やってみせ,そのうしろ姿を子供に見せるのだ,とは言われるが,それを実践するのは難しい。ましてや,難関校の入試問題である。中学入試とはいえ,「つるかめ算」「周期算」「旅人算」「流水算」など,小学校では習わない特殊算の解法や,文章題でどれを使うかの判断。高卒,大卒の普通の大人でも難しいのではないか。
また,父信一さんの言葉も重い。過程が大切だというのは,結果を残したから言えることであって,結果を残していないことにはどうしようもない。結果にこだわるからこその過程なのだ。
中学入試を通じて,信一さんも勉強の楽しさ,ひいては学問の楽しさに気づいたのだ。そして,同じように娘さんも。
すごいことだと思う。なかなかできないことだと思う。
娘に学歴を与えたい,中卒の学歴ではいけない,というスタートから,新しいことを学ぶことが楽しい,持てる自分の知見から問題を解決していくことが面白い,と思えるようになったのだと思う。
娘の佳織さんは最難関の桜蔭には残念ながら不合格だったが,別の難関中高一貫校に進んで,勉強に忙しいながらも充実した生活を送っているそうだ。
この文庫版の巻末にある,佳織さんの言葉がとても素晴らしい。努力したことはその後の人生に生きてくる,そう感じた。
ニートの歩き方 [本]
ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法
- 作者: pha
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2012/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
文字通り,ニートの歩き方です。
海外旅行本みたいなタイトルですが。
ニートと言うと,学生でもない,フルタイムで働いているわけでもない,ある意味,物知り顔の大人たちが,眉をひそめる存在のようなイメージ。
ですが,ニートで生きることを後ろめたく感じてはいけない。著者のphaさんの意思を感じました。
京大まで出て,一度は就職したものの,どうしても仕事をしていることになじめない。
なんとなく日々の仕事をやり過ごしていればいいのに,それが嫌でたまらない。お金を得るために対してやりたくもないことをやっているのは嫌だ。
だから仕事やめてニートになりました,って,やめられる気持ちが羨ましいと思う。
あとはphaさんの才覚で,ブログを書いたりプログラミングをやったりシェアハウスを運営したり。
ニートでの生活のしかたや,暮らし方などの指南本の体を取っているけれど,これ。
うん,多分,きっと,同じようにはなかなかできない。
どこかで予防線張って,なんとか社会にしがみついているんだと思います。
って,パートタイマー主婦のオイラに言われても説得力ないですが。
好きなことを仕事にするのっていうのは羨ましい。
それで生き生きできているのって羨ましい。
いいなあと思いながら,でも自分にはできないですよと思いつつ,深夜のブログ更新。
みんながみんなニートになってしまったら,社会として成り立たないと思いますが,このような生き方もあるんだなあと思いました。