ハレのヒ食堂の朝ごはん [本]
「ハレのヒ食堂」は,吉祥寺,公園の池のほとりにある朝ごはん専門店。
こだわったブランド米。八王子産のこだわりの朝取り野菜と卵。どれも美味しいけれど,今ひとつ流行っていない。
人一倍どんくさくて要領の悪い深幸は,バイトをクビになリ,住むところもなくなってホームレスになりかけたところを,ひょんなことで,このハレのヒ食堂で給仕として働くことになる。
店主の晴子と,お互い不器用な二人が,お互いに助け合いながらハレのヒ食堂を切り盛りしていくようになる。
こだわり抜いた食材と,抜群に料理の上手な晴子が作る朝ごはんは,とても美味しいのにアラン会長と呼ばれるホームレスの老人には認められない。お客も一部の常連以外には増える様子がないが……。
主人公の深幸,店主の晴子,それぞれ訳ありだし,不器用で上手く立ち回っていくことができないし,それがもどかしく感じます。けれども,その不器用さもどこか読んでいる自分と重なる部分があります。物語がどうなるんだろう,アラン会長に認められる朝ごはんはできるのだろうか,とドキドキしながら読みました。
不器用だけど,それを超える頑張りと,今までそれぞれ心に殻を持っていた二人が少しずつ打ち解けてパートナーとしてハレのヒ食堂を切り盛りしていく姿に,なんか温かい気持ちになっていきました。
成田名璃子さんの小説は,いつも美味しそうなご飯が出てきて,食べたくてたまりません。
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